朝起きてカーテンを開けるといつもの庭の姿が一変、真っ白でしんとした空間は別次元のように感じます。すべての色を覆い尽くすこの景色が好きです。浄化された冷たい空気のにおいや雪雲が去ったあとの澄み渡る青空も。
子供の頃は雪が降ると時間を忘れてかまくらや雪だるまを作ったり、歓声をあげながら雪玉をなげあったり。自分の足跡をきれいに残したくて雪かきしてある道を避けて歩くから、靴も服もびっしょり。雪があまり降らない地域では特に、この非日常の景色を心から楽しんでいたのではないでしょうか。けれど大人になるにつれて雪は美しくて楽しいものから、大変で面倒くさいものになってしまったかもしれません。明日はいつも通りに通勤できるだろうか、転んで濡れたりけがをしたら嫌だなあ、早起きして家の周りを雪かきしなきゃ…。音もなく降る雪に目がいくことはないのです。
雪景色に限らず目に映る風景やあらゆる事象は、その人の経験によって受け取る形が様々に違ったものになっていきます。大切に思う何かや誰かが関わっていた場合はなおさらです。心浮きたつものもあれば苦々しく辛いものになることもあるでしょう。
けれどそれらは本当はいつだってただ「あるがまま」。「起こっているがまま」。
一呼吸おいて、自分の中に出来上がってしまったフィルターを意識的にはずしてみませんか。そうすると「ありのまま」を静かに眺めることが出来ます。それが癒しの始まりだったりするのです。
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