久しぶりに長い散歩をしました。金木犀の香りがふんわりと漂ってくるので、花のありかを探してあっちこっちをふらふら。
「パパはいつだってこの花の香りを楽しむことができないのよねえ。」残念そうな母の声が聞こえたような気がしました。子供のころ住んでいた家の庭にも金木犀の木があったのですが、花が咲くこの時期に父は毎年のように出張で家を空けていました。開花して一週間もするとだんだん香りは薄くなっていき、オレンジ色の小さな花々はいつの間にかはらはらっと散ってしまいます。早く帰ってきてほしいなあ、一緒にこのいい匂いの空気を吸いたいなあ。そう願いながら母や妹たちと木を眺めていたあの頃に、一瞬戻ったような不思議な感覚を覚えました。
マリアの庭には金木犀と銀木犀があります。少しだけ枝を分けてもらってサロンにも飾り、いらっしゃる皆さまをお迎えしています。
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